僕にとってスウィートなお相手

それってもしや君ですか?

泥棒役者について語る

 

丸山隆平単独初主演映画「泥棒役者

スクリーンで見納めました

 

合計6回

こう文字にすると思ったより行かなかったなとか思っちゃいましたが(笑)私のリピート最高記録です。おめでとう。

 

なぜ何回も見に行くのか…もちろん丸山隆平主演だからが正直8割を占めているけど、単純に元気を貰えるから・素敵な映画だからという理由も兼ね備えているのでここでちょっと語ってみようかと思います。初っ端からがっつりネタバレありです。時系列バラバラなので読みにくいです。

 

○登場人物が個性豊か

○メッセージ性の強いストーリー

 

勘違いが勘違いを生んで進んでいくストーリーはお見事…緻密なネタが散りばめられてて映画館内は毎回笑いが絶えませんでした。

  

この映画にはいわゆる悪役であったり、ヒーローみたいなものは出てきません。全員、ちょっとした後悔や悩みを抱えながらもただ平凡な生活を送っている普通の人間です。

 

大貫はじめ…少年院に入っていた過去を持つが今は足を洗い真っ当に仕事に励む。過去のことは彼女に伝えられていない。

 

前園俊太郎…タマとみきは大ヒットしたもの、以降事務所のお荷物になってしまった絵本作家。タマとみき製作に大いに関わった妻が事故死し、妻の想いを聞かずに喧嘩別れしてしまった後悔や無念から続編は書かないと心に決める。

 

奥江理子…帰国子女の編集者。過去の失敗により胃を痛める。

 

轟良介…一攫千金を夢見て一人会社を設立も全く売れないセールスマン。

 

畠山則夫…盗みにはじめを誘った地元の先輩。仕事も探さずに盗みを続ける。

 

高梨仁…「(歌手になるという)夢を追い続けて20年未だ叶わず、42歳になりました。」前園邸隣に住む脇汗がすごいクレーマー(ユーチューバー)。

 

 

(説明が適当なのは置いといて)

文字にするとみんな苦労しすぎ?と思うけど、誰しも生きていれば後悔の1つや2つはあるでしょう。

 

私が一番共感できるのは正直高梨さんですが、轟さんの

「引くに引けなくなってるんだろうな…こんなことなら、歌手目指さなきゃよかった、なんて」

という言葉が……重い。

 

何事も、始めてしまえば結果が実るのを待つしかない。その結果が何ヶ月後何年後何十年後になるか分からない。もしかしたら、結果は出ないかもしれない。

 

そんな先の見えない未来に向かってもがいてる時期って一番しんどくないかな?やめるなら早めにやめたいんだけど、でも、もしかしたら…少しの希望にかけて頑張りたい自分もいる。今の私もそんな時期です。

 

思いきりネタバレすると、この映画はそんな人たちが1日過ごす中で未来に希望を持ち前を向いて一歩進んだところでお話は終わります。 

 

はじめくんは彼女と向き合い、前園先生は続編を書き、高梨さんはほんのちょっとYouTubeの再生回数が増え、則夫さんは仕事を始める…

 

はじめに戻りますが悪役は1人もいません。みんながみんなただの人間。誰しもが持ってる人間臭さを効果的に生かした作品だと思います。(だから私はよくディズニー映画の中でもプーさんレベルに温かい話だと言っている)

 

ある日の鑑賞終わり、室内が明るくなって、後ろのお客さんから「良い映画だった。…私も頑張ろう。」という声が聞こえてきました。これがものすごくこの映画を表す一言なんじゃないかな、と。観終わった後に、「じゃ次は私も頑張ろう」と思える素敵な映画だと思います。

 

○「捨てられたゴミ」の話

 

ひょんなことから前園先生の絵本制作に関わることになったはじめ轟奥。そんな中で4人が作ったお話が「捨てられたゴミ」(タイトルは違うかもしれない)

 

はじめくんの過去の話の作り直し。ゴミ(ちり紙くんとダイレクトメールくんとパンの袋を止めるアレちゃん)がゴミ箱を飛び出して、未来に不安を感じていた彼らが自らの力で外へ出て光を目指していくお話。

 

ここの製作過程がまた…みなさんの笑顔がとてもよい……楽しいんだろうな、楽しんでるんだろうなという感情がとてもよく伝わる素敵なシーンです。

それぞれも個別に不安を抱えていて、まるでお話に自分たちを重ねているようで。

 

絵本、捨てられたゴミのラストは太陽が昇りキラキラ輝いて(その先の未来に一筋の光が差し込んで)the endですが、映画本編のラストもはじめくんの顔の横ある太陽くん人形が同じようにキラキラ輝いてエンドロールに入ります。

これも、4人で作ったお話がつながっているのではないかな、はじめくんも彼女と向き合って不安を感じていた未来に一筋の光が差し込んだ、そんなところを表しているんじゃないかなと思ってます。

 

○前園俊太郎と「タマとみき」

 

過去に前園俊太郎が大ヒットを飛ばした児童絵本「タマとみき」

猫のタマと人間の女の子みきちゃんがお互い助け合いながら毎日を過ごす物語(ざっくり)

名ゼリフは、もうダメだと泣き出したみきちゃんにタマがかける「まだ終わってないニャ〜!」

 

映画の半ばで前園先生はタマとみきについて語ります。タマとみきのモデルは前園俊太郎(タマ)とその妻ミキコ(みきちゃん)だということ、最初はタイトルが違っていたこと、出版社に持ち寄っても評判が良くなかったこと、そこでミキコは勝手にタイトルを「タマとみき」に変更して出版社に持ち寄ったこと、それが大ヒットしたこと…

前園は忙しくなりすぎてミキコと喧嘩ばかりになってしまったこと、仲直りができないタマみきのお礼も言えないままミキコは交通事故にあい亡くなってしまったこと…

タマとみきは仲が良かった夫婦そのものを描いたお話だから、ミキコの気持ちが分からない今続編を書くことができないこと……

 

情報解禁時になんだこれは(失礼)となっていたこの絵本にそんな深いストーリーがあったとは…… 前園先生のタマとみきにかける想い。この独白のシーンは初見時軽く涙を流しました。

 

対してミキコはどうだろう、

ミキコはタマみきのことを、前園俊太郎のとこをどう想っているのだろう。

 

本編ラスト、原案が入っていた金庫が数年ぶりに開けられた時、ミキコの手紙が入っていることを知ります。それを躊躇なく読み上げる轟良介。←最高

「俊太郎さんとは、素直になれずに顔を合わせればつい逆のことばかり言ってしまいます。」「私の思いを入れておくね。」

…肝心の思いが書かれてない。

 

そこでまさかのはじめくんが気づきます。「ミキコさんはずっと思いを伝えてましたよ」「逆のことばかり言ってしまう、素直になれないミキコさんがタイトルを変えたんですよ」と。

 

タマとみき、逆から読むと…?

 

 

 

きみとまた

 

 

 

ここで私は大号泣です。

いやはじめくん…知ってたなら早く教えなさいよ……( ;  ; )

 

こんな話だと思わなかった。予告からしアンジャッシュコントしか分からなかったからこんな結末になるとは思わなかった。

念も全てが晴れたわけではないけど、確かに前園先生とミキコさんは想い合っていた。そんな2人に感化されて、皆はより前を向いて笑顔で豪邸を後にするのです。

 

はじめくんが外に出る時、前園先生はたった一言「きみと、また」と声をかけます。はじめくんは振り返らず彼女の元へ走って向かうのですが、そのときはじめくんはどう思っていたのかな。

多分、今後会うことはないのだろうけど、どこかで繋がってて、お互いに今日のことは忘れず頑張って過ごしていこうという、決意のような意思表示のようなものだろうなと思います。うまく言えませんが

 

こんな綺麗なストーリー展開になるなんて、誰が思っていた???ただの勘違いが勘違いを生むコメディ映画かと思いきや、私たちの背中をそっと押してくれたり、あったかい気持ちにさせてくれるスーパーハートフル💓コメディ映画だったのでした。

 

泥棒役者は素敵な映画です。

 

 

 

既に3000オーバーというレポート規模の感想(とはいえあらすじ説明が大半)なのですが、言い足りないので残りはまさかの後半へ続く!!!!!